日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

2008年 07月 07日 ( 1 )

一日一日が旅だから

職場に何日かぶりで行ったら,道の途中に大きなダリアの花が
咲いていた。
長いこと矮小化されたダリアにしかお目にかかってこなかったので,
感激!
大きなダリアは夏らしくていい。
ダリア,育ててみたいんだけれど案外むずかしいらしいので,
まだ先の楽しみにとっておこうと思う。

キキョウの花も咲き始めた。

雨があがればもう夏だ。

ここ何ヶ月もじつは相方の調子がいまひとつ。
なんだか歳をとったという感じがしてきたらしい。
今日は七夕。
出会った頃の二人を思い出してほしいなぁなんて思いつつ,
(こんな場で失礼しますが)
相方への応援の意味をこめて詩を紹介しようっと。


    新しい地形         メイ・サートン


  老年とは
  未知の世界の探訪
  そう考えれば
  なんとか受け入れられる
  挫折感は道づれ
  くよくよしてはいられない
  笑うことは命綱
  めがねを冷蔵庫で見つけるのも一興なら
  椅子から立つために
  意志の力をふりしぼるのも
  階段を昇るなら
  まず深呼吸をして
  エヴェレスト登山の覚悟を決めるのも。
  とはいえ
  とっておきの愉しみもある
  微動だにもせず半時間
  わたしはひっそりと
  座り続けていられる
  まるで植物になったみたいに
  刻々と うつろう光を追いかけながら。

  一日一日が旅だから
  家はわたしの奥の細道
  上り下りの坂があり
  遠回りする小道もある
  夕食のテーブルはおごそかに
  儀式のようにしつらえて
  花には水を欠かさない
  ひとつひとつが大事なつとめ
  わたしの心の砂時計で
  きちんと測ってあるとおり。

  そうして体を横たえれば
  ひたひたとよせる追憶が
  わたしの時間をみたしてゆく。
  八十年の生涯を
  どんなにたっぷり生きてきたか
  思えばめまいをおぼえるほど
  追憶はあまさず心に生きている
  変化してやまない大海原
  その満ちる潮 また引く潮。

  ニネット・ド・ヴァロアが
  詩に詠んだことばが いまわかる
  「いのちは生きるだけじゃない
   感じることです より深く」
  詩人はこのとき九十四歳。

  この旅では
  これまでとちがい
  わたしは 地形を学んでいる
  魅力はある でも
  なんとも 奇妙きわまる。

                 『一日一日が旅だから』 みすず書房


80歳を越えてなお生きることを楽しんでいるメイ・サートン。
彼女の感情の動きは激しく,ときには打ち砕かれたようになることも
あるようだけれど,でもあくまで楽しみを(愉しみを)もとめる彼女の
ような心を,ずっと保っていけますように。

これから二人の生活はまだまだ続く予定なのだから,
まだこれからなのだから,元気にできれば笑いながらいきましょう。
ふたりの奇妙きわまる道を探しつつ。

残念ながら星は出ていないけれど,
雲のむこうの星にお願いしておきます。

まだまだこれからだよって。
[PR]
by KATEK | 2008-07-07 20:12