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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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新しいゴールドベルクだ!!

Simone Dinnersteinの,「ゴールドベルク変奏曲」がすごい!

今日届いたCD,シモーヌ・ディナーステインというピアニストの
弾くバッハは,色が見えるような感じ。
(ピアノのレッスンで習ったばかりのことだけれど,)バッハの弾き方は
基本としてちゃんとあるのに,この流麗さ。
つぶやくようだったり,流れるようだったり,春の空気を感じさせるような
ものでもあったり。
ともかく優しいのだ。
しかっめつらのバッハじゃない。
跳ねたり,ころがったり,つっかえたりという子どもの動きの豊かさみたいな
ものを感じるのはわたしだけだろうか。
和音の響きもたまらない。
子守唄には最適!
これから何度も聴くことになるだろう。

柳原和子『百万回の永訣』を読み終える。
『ガン患者学』という本を書いた人でもある。
医療過誤の裁判に関わったり,ガン患者の言い分を本にしたり,
そして彼女自身も,もう先がないといわれるまでの末期がん患者
になったとき書いたのが,この本だ。

彼女は全国のなかから有数の医師を選んで,
(ドクターショッピングといわれながらも)ともかく生きるために,
自分に最善と考えられる治療を続けた。

どの医師も,その道の専門家。
だから一人ひとりの医師のなかでの理屈には,破綻がない。
けれど,みんながそれぞれの考えの下で治療しているのだから,
治療方針がぜんぜん違う。
放射線か手術か,最後は自分で選ばなくてはならない。

がん患者でなくなっていった人たちの最後のメッセージは,
よく報道されたりしている。
だいたいが生きることのすばらしさとか命の大切さとか,
そんなことが明るく強調されることが多い。
死を前にした暗さや迷いが感じられないほど,元気で生き生きして
がんばっているのだ。
たとえば絵門さんもそうだった。

でも,柳原さんは迷いに迷って生きている。
迷うだけの知識と人脈とお金があるから,という人もいる。
でも,ある意味特権的なところにいることも,自分自身で前提と
しながら,この本は書かれている。
だから,死を前にするということを,わたしも考えることができるのだ。

最後は苦しまないで死にたい。
でも,尊厳死というのもまだどうとらえていいか,わからないままだ。
ホスピスだって,待機している人の数からいっても受けられるという
保障はないし・・・
老衰の自然死だったらどんなにいいことだろう。

認知症や尊厳死なんてテーマは,ときどきわたしの前に
ぐぐっとせまってきて,今から考えろよ,って声になって
聞えてくる。
葬儀のことや持ち物の処分のこととかも含めて。

でも移り気なわたしは,またすぐに他のテーマにのめりこんで
いくのだろう。
とりあえず,ガンの話は今日でおしまいにしておこう。
by KATEK | 2008-02-20 21:00