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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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居眠り考

『僕のこころを病名で呼ばないで』というタイトルが気になって
借りてきてしまった。
著者は青木省三さん。岩波書店刊。

まだ最初しか読んでいないけれど,「居眠り」について書いて
あるところが,とってもよかった。

驚いたことがある。
前にいた職場で,女性の先生が(ここで女性と限定するのは
少し躊躇もあるのだけれど),授業中下を向いている生徒は
減点していくという方針を採っていたこと。

わたしは根っからぐうたらだから,下を向いている生徒を
いちいちチェックしていくなんてことは到底できないし,
そういうやりかたにもなじまない。

でも,「がばね」も含めば,寝ていることを減点する教員も
けっこういると思う。
(「がばね」って,わかりますか。机に大胆にがばっと伏せて,
すっかり寝てしまうことです。これって業界用語かな?)

でもこのがばねにしても,わたしはなんだかうれしい経験を
持っている。

男子生徒だったが,お子様ランチにつけてくる旗のようなものが
机の端に立てられていて,彼はがばねしている。
いつも寝てばかりの生徒だったから,よく注意はしたけれど,
その時の彼は注意なんかできなかった。

トイレットペーパーのしんや紙を使って,粗末な資材で
そういう旗を作りたなびかしていた。
「睡眠中です。起こさないでください。」と書かれていた旗。

わたしは思わず
「A君って幸せな人なんだなぇ。」とみんなの前で言ってしまった。
生徒達は笑っていた。
彼が寝てしまっても,それにつられてバタバタ寝に入る体勢には
なっていなかったし,なんとも平和な空間と時間がそこには
あったのだ。

こういう時注意もしない教員は×かもしれないけれど・・・

この本にはこう書かれていた。

人間が健康でいる条件2つ。
・気持ちよく眠れること
・おいしく食事ができること
この2つが欠けている子には,危険信号が出ていると思っていい。

思春期外来にくる子の多くは,学校では眠れないのだという。
周りの生徒のこと,教員のことが気になって緊張して
とても眠れたものじゃないらしいのだ。

そういう子どもは緊張が続いて疲れきってしまい,
不登校になりやすいとも書いてあった。

学校の中でどんなとき休めばいいのか,休むことと集中することの
バランスを具体的に一緒に考えることから,治療は始まるらしい。
緊張と弛緩のリズムを作ることの大事さ。

今,土曜日の授業を復活せよ,なんて話が出ているけれど,
そんな話はちっとも子どもを見ていない発想だと思う。

生徒が安心してそこにいられる環境づくりが真っ先に必要。
それには,教員もゆったりかまえていなければならない。

わたしは,どんなに眠られてしまっても,とりあえずは
ゆったり対応できる人でありたい。
by KATEK | 2007-06-11 21:08