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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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「生きる」をデザインしよう

朝からCDをヘッドフォンで聞いている。
相方様はまだまだ夢の中。

聞いているのは,スコットランドの4人組のボーカル。
土のにおい,風のにおいがする。
久しぶりに音楽に乗ってからだを動かしたくなった。
(AnamというグループのCD。ボックス入り3枚)

谷川俊太郎さんの詩 「生きる」

  生きているということ
  いま生きているということ
  それはのどがかわくということ
  木もれ陽がまぶしいということ
  ふっと或るメロディを思い出すということ
  くしゃみをすること
  あなたと手をつなぐこと

この詩をもとに小学校で授業が行われた。
菊池信義さんという本の装丁を仕事にしている人の授業。

『「生きる」 みんなの「生きる」をデザインしよう』という本から。
(白水社刊)

菊池さんは最初に「花」という字を5人の子供たちに
黒板に出て書いてもらった。

それぞれの字。
そこから何の花・どんな花をイメージするか聞き出していく。

字(文字・書体)のもつ表現力。
色彩のかもし出すもの。
紙の手触り。
いろんなものが表紙一枚,文章や詩にはこめられていること。
それを,文字にして表すこと。

こんな難しい,でも楽しい作業が展開される。

最後に,谷川さんの詩に自分の一行をそえて,
詩の全体を表紙としてデザインすることが課題となった。

その課題を知らされて,放課後の子供たちの会話。
ここを読んでいたら,なんだかうれしくなってきた。



 夕方の校庭,サッカーをしている子どもたち。
 男の子たちが家路につく。
 「宿題,できるかな?」
 「やらないとできないしね」
 「生きるってどんなとき?」
 「さよならヒットを打ったとき」
 「おいしいものを食べたとき」
 「それって味覚だよね,ほかに嗅覚とかあるじゃん」
 「生きているって感じたときはね・・・あくびしたときも
  生きているって感じるな」
 「快感だもんな」
 「おいしいものを食べたときでしょ。あとあくび」
 「トイレいったとき」
 「さよならヒットだよ」
 「やっぱゲームだべ。でもそれって嗅覚とか・・・」
 「疲れて寝るときって,五感のうちのなんだろう」
 「気持ちだよ」
 「気持ちってなんだ」
 「さよならだよ」
 「気持ちってなんだよ」
 「どんなときそう思う?」
 「たとえば,食べておいしいとかまずいとか,生きているって
  感じるとき」
 「やっぱり・・・?焼き肉」
 「焼き肉ってタレとか匂いとかあるじゃん。そういう匂いとかもさ,
  生きててよかったって思うときある?」
 「生きてなかったら食べられないしね」
 「むずかしい・・・」
 「俊介はどんなとき?」
 「肉食ったとき」
 「どんな肉?お前,生肉食うの?」
 「焼き肉」
 「どうして?匂いがよかったとか味がいいとか」
 「触覚が」
 「触覚って?だから触覚がいいからって生きててよかったって思う?」
 「そこまでじゃないけど」
 「でもいきていなかったら食べられない」
 「たとえば俺は愛知万博のマンモスを見て,すごい感動したわけ
  だよ。じゃあね。そういうときは生きててよかったと思うし」
 「映画でもあるだろ」
 「映画はない」
 「このあいだ鎌倉行ったときも文学館で夏目漱石見てきたじゃん。
  そういうのでもなんかない?」
 二人の影が長くなった。


書き写していると,ホントなんでもない会話なんだけど,
この会話自体が生きていて,こんなことを話し合っている子どもが
いるってことが,なんだかすごくうれしくなって・・・

へんですか?こんなことで感動するのは。
by KATEK | 2007-05-12 09:25