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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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須賀敦子さんの呼吸

ここのところずいぶんと更新していない。
仕事もそんなに忙しいわけではないのに。
でも人事異動や仕事内容の変化に合わせての
気持ちの問題とか,気ぜわしくはある。

もっとどーんとかまえていられたらなぁと思うこの頃。

録画しておいた須賀敦子さんに関してのドキュメンタリーを見た。

恥ずかしながら,須賀さんが本を書き始めたのがずいぶん
お歳をとってからのことだったこと,知らなかった。
文章はみずみずしく,歳を感じさせないものだったから・・・
(と,あとから理由付け)

いつも自分に「ぴったりあう靴」を探して,
(どう生きていくか,亡くなるまで問い続けて)
いらしたのだということは,今のわたしには力になる話。

とても活動的だったということは,本からはわからなかった。
(といったって,まともに須賀さんの書かれたものを読んでいないから)

ひとつ番組を見ながらはっきりしたことがある。

須賀さんの文章の美しさには定評がある。
わたしも文章の中から伝わってくる匂いのようなものは,
感じていた。
でも,本当のところ須賀さんの文章,わたしには読みにくかった。

テレビの中で朗読されていた須賀さんの文章を聞いて,
これだと思った。
文章の区切りがとても長いのだ。
目で追っていくと,なんだか印象がばらけていくものが,声になって
聞こえてくるとテンポがよく流麗で頭の中に入ってくる。
わたしにとって,須賀さんの文章は声に出されて初めてわかるもの
だということ。
わたしの文章の呼吸と,須賀さんの呼吸はずいぶん違うのだ。

須賀さんの文章は既に詩だと,誰かがいっていた。
そうなのかもしれない。

わたしの頭は説明文のような無機的なものに慣れているから,
頭の回路をかえないとならないんだ。

わからないのに,須賀さんの生きた途を少し知ったら,
とってもその書かれた頃の生き方に照らして本を読みたく
なってきた。
でも,いまはやっぱりまだだ。
いつか読みたい。
イタリアにもいって坂や路地を歩いてみたい。
by KATEK | 2010-03-14 21:27