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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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アスベスト 『石の肺』

熱を出してから,どうも体調が元に戻らず,
動く気力がわいてこない。
相方のお世話になるばかり。

元気のいいときは,相方がどんどん家事仕事をやってくれる
のをみても,ありがとうって思うだけで,自責感はない。
でも,動けなくなるとなんだか「やってもらうばかりで」と
自分がとってもだめなやつなんだって気がしてくる。

動けないことにそんな自責感や劣等感みたいなものをもつ必要は
ないことくらい,頭ではしっかりわかっているつもりだけれど,
現実は違うのだ。

ともかく相方に感謝。

昨日は 佐伯一麦 『石の肺』を読んでいた。

前に「現代文学を読む会」なるものに参加していた頃,
佐伯さんの「ア ルース ボーイ」(だったけ?)を読む機会があった。
わたしはその時途中で読むのをやめてしまっていた。
青春ものかと思って,なんだか軽く見ていた気がする。

この『石の肺』は佐伯さんがはじめて書いたノンフィクション。
アスベスト禍を自分の体験を軸に書いている。
あらためて佐伯さんの真摯な姿に出会い,わたしの思い込みに
対して反省,だった。

佐伯さんは,電気工として働く中で,アスベストを浴びそれ以降
ずっとからだに爆弾を抱えている。
アスベストが問題になった時は,世間でもずいぶん騒がれたけれど,
それっきりだ。
アスベストを浴びている人は,放射線を浴びたり,有機水銀を摂取
したりしたのと同じくらい広く存在していて,また症状もいろいろだという。

例によって,アスベストがなんとなくからだに悪いことは知っていても,
そこしか働く場がないという人たちが,被害を被っていて,
さらに保障も受けずに,亡くなっていくというパターンがここにもある。

孫請けのさらに下請けの立場の会社に勤めている人たち,
在日朝鮮人の人たち・・・

クボタという大会社で働いていた人への保障はきちんとなされる
方向に動いても,そこで見捨てられる人たちは見えてこない。

咳き込んで苦しい様子の佐伯さんの文章からは,
からだの苦しさと見捨てられてきた人たちの思いが伝わってくる。

さて,外は曇り。
今日はどんな日になるかな?
by KATEK | 2007-05-02 07:20