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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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松田権六さん

新日曜美術館(NHKテレビ)で,松田権六という人の特集をやっていた。
うつくしい・・・
うるしを使ったさまざまな作品。
色も線もどれも,全体をみても部分をみても,どこも繊細で力もあって
のびやかで。

夕焼けを現したものなど,こんなに夕焼けを見るときの感動に近いものを
実際現せるのかと驚きが先にたつ。
オレンジ色のうるしが四隅に使われていて,細かく見るとちっとも夕焼けでは
ないにもかかわらず,全体を見たときに味わう感動は「夕焼け」でしかない。

こんなすごい人のことを,わたしは今まで知らなかった。

螺鈿も,泥絵という手法も,真珠やウズラの卵を使ったものも,
どれも細かな細工に,何かこめられているものを感じる。

最後のほうで,「わたしは天才ではないから,積み重ねるしかない」と
語っていた。
そして,一日一図案を書くということを自分に課して,それを続けた。
一日に二枚書いてはいけない。一日一枚,一年で365枚書く中で
何かを見つけられる。

これって極致。

才能があって,積み重ねがあって,そこに何かが立ち現れる。

わたしにない強さだ。

ここであぁと挫けてはいけない。
少しでもまねをしたい。

わたしはともすると,失敗例が先に浮かんで自信をなくしてしまう。
ほんとうにささいなこと。
たとえば,今運んでいる夕飯のおかずを盛ったお皿をひっくりかえす
という映像が,運んでいる最中にみえてしまう。
包丁の歯が割れて,それを知らずに食べてしまって口の中が血だらけに。
手を切ってしまう。ころんでしまう。寝過ごしてしまう。
どれもこれも,駄目な例ばかりが映像になる。

イメージトレーニング以前の問題だ。

こんな世界から脱して,もっとうまくいくよう思い考えよう。
もっときれいなものをみて,わたしはだめだと思わずに,近づきたいと思おう。

松田権六さんは,そんなメッセージをくれた。
たぶん。

今日は強風の中,梅が寒そうに咲いていた。
沈丁花の花もふくらんでいる。
みんな生きて育っている。
by KATEK | 2007-01-07 21:19