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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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病める樹よ

ハンセン病に関する法律が2001年に改定されたこと,
そこにいたるまでの歴史が「あった」ということを,忘れていた。

島比呂志の詩  病める樹よ

  永遠の中の
  一年がなかったら
  永遠は成立しないということを
  樹よ
  よく考えてみるがいい

  どこからか吹いたきた悪病に
  おまえの枝や葉が
  変形し
  醜悪になったからといって
  絶望してはならない
  なるほど
  風がふけば
  おまえは
  仲間以上の危険にさらされるであろう
  雪が降れば
  ひとしお寒さが 浸みるであろう
  けれども
  全力を挙げて耐えるがいい
  やがて
  おまえの生涯が終わり
  板となり
  柱となる日
  苦しみに耐えて来た
  一年一年が
  いかに美しい年輪となり
  木目となるであろうか

  樹よ
  悪病を嘆くことなく
  ありだけの力で生きるがいい
  やがて摂理の鋸にかかる日まで
  血みどろに生きるがいい
  樹よ樹よ樹よ樹よ
  病める樹よ!


        1952『愛生』11月号


島比呂志は,プロミンの開発で,
「らい」は,不治のものから自然にに治るものへと変わった時期を
生きた。
薬の薬効と,「らい者」の意識,「らい」の圏外に生きている人たちの意識
それは,同じように変わったわけではなかった。
そのズレの怒りや不条理や
いろんなものを抱いて,隔離病棟ではない「普通の」土地で死んでいった。

わたしのなかのなにかが騒ぐ
by KATEK | 2006-09-18 22:35